問題
2段に縦続接続された増幅器の総合の等価雑音温度の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、初段の増幅器の等価雑音温度を270[K]、電力利得を6[dB]、次段の増幅器の等価雑音温度を360[K]とする。また、$\log_{10}2 = 0.3$とする。
1 | 408[K] |
2 | 393[K] |
3 | 380[K] |
4 | 369[K] |
5 | 360[K] |
解答 5
総合等価雑音温度$T$は、初段の等価雑音温度$T_1$[K]、利得$G_1$(真数)、次段の等価雑音温度$T_2$[K]を用いて次式で表される。
$$T = T_1 + \frac{T_2}{G_1}$$
Tは、$G_1 = 10^{(6/10)} = 10^{(0.3 \times 2)} = 2^2 =4$及び題意の数値を用いて次のようになる。
$$T = 270 + \frac{360}{4} = 270 + 90 = 360[K]$$
雑音指数
受信された信号は、受信信号電力と途中で混入された雑音電力の比で表されるのが普通であり、これをS/N(SN比)と呼んでいます。
信号が増幅器や伝送路に加えられた場合、出力には増幅器から発生する雑音や、線路の損失などが新しく加わり、入力のS/Nに比べて、出力のS/Nが劣化します。この入力と出力のS/Nの比を雑音指数$F$といいます。
$F = \frac{S_i / N_i}{S_o / N_o}$
雑音指数$F$は、入力のSN比より出力のSN比の方が悪い(小さい)ので、つねに1より大きくなります。
増幅器で発生する内部雑音を入力雑音に換算したものを入力換算雑音電力$N_i$といい、
$N_i = kTBF$[W]で表されます。
また、増幅器の雑音を等価雑音温度で表すことがあり、等価雑音温度$T_e$は、
$T_e = T_0 (F - 1)$($F$は雑音指数(真数)、$T_0$は周囲温度[K])
で表されます。
2段増幅器の総合雑音指数$F$
2段増幅器の総合雑音指数$F$は、1段目の増幅器の利得$G_1$と雑音指数$F_1$、2段目の増幅器の雑音指数$F_2$を用いて、以下で表される。
$F = F_1 + \frac{F_2 - 1}{G_1}$
したがって、多段接続の増幅器のシステム総合雑音指数を低くするためには、初段の増幅器の雑音指数$F_1$を小さく、その利得$G_1$を大きくすることにより、後段の増幅器の発生雑音の影響を抑えることができる。
2段増幅器の等価雑音温度$T$
また、2段増幅器の等価雑音指数$T$は、1段目の増幅器の利得$G_1$と等価雑音温度$T_1$、2段目の等価雑音温度$F_2$を用いて、以下で表される。
$T = T_1 + \frac{T_2}{G_1}$[K]
したがって、衛星通信ように到来信号が非常に低いレベルの場合は、1段目の等価雑音温度$T_1$を数十Kとし、その利得$G_1$を1000倍(30dB)以上とするのが一般である。