問題
次の記述は、図に示す直列共振回路について述べたものである。$\boxed{ }$ 内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
この回路のインピーダンス $\dot{Z} [\Omega]$ は、角周波数 $\omega$[rad/s]とすれば、次式で表される。
$$\dot{Z} = R + j(\omega L – (1/\omega C))$$
$\omega L = (1/\omega C)$のとき回路の$\boxed{ A }$分は、零となる。
このときの回路電流$\dot{I}$[A]の大きさは$\boxed{ B }$、インピーダンスの大きさは、$\boxed{ C }$となる。
A | B | C | |
1 | アドミタンス | 最小 | 最小 |
2 | アドミタンス | 最大 | 最大 |
3 | リアクタンス | 最小 | 最大 |
4 | リアクタンス | 最大 | 最小 |
5 | リアクタンス | 最小 | 最小 |
解答 4
共振回路
電子回路で使われる共振回路の基本は、LC共振回路です。多数の周波数の中から、希望する周波数を取り出す場合に共振回路が使われます。共振回路の共振の良さを表すのに、$Q$(Quality factor)を使います。$Q$は尖鋭度といいます。共振時に、コイル$L$のリアクタンス$\omega L$とコンデンサ$C$のリアクタンス$1/\omega C$は等しくなります。
$\omega L = \frac{1}{\omega C} より f = \frac{1}{2\pi\sqrt{L C}}$
尖鋭度$Q$は、直列と並列の場合で式が違って、以下のようになります。
【直列共振回路】
$Q = \left|\frac{V_L}{V}\right| または Q = \left|\frac{V_C}{V}\right|$
【並列共振回路】
$Q = \left|\frac{I_L}{I}\right| または Q = \left|\frac{I_C}{I}\right|$
直列共振回路と並列共振回路の$Q$の値は逆数になります。
直列共振回路
直列共振回路時、コイル$L$とコンデンサ$C$の回路のインピーダンスは、0になっています。したがって、回路全体のインピーダンス$Z$は、抵抗分のみとなります。(ちなみに、並列共振回路時は、コイル$L$とコンデンサ$C$の回路部分のインピーダンスは、無限大になっていますので、コイル$L$とコンデンサ$C$の部分には電流は流れません。)
回路のインピーダンスの大きさは、以下となる。
$$|\dot{Z}| = \sqrt{R^2 + (\omega L – \frac{1}{\omega C})^2}$$
共振条件:$\omega L = (1/\omega C)$のときは、リアクタンス分が零で、$|\dot{Z}|$は最小で$R$となり、回路の電流の大きさは$|\dot{I}|$は最大となる。