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【無線工学】《基礎理論》(H28-2午前(4))並列共振回路

無線工学基礎理論RLC回路
問題

 図に示す回路において、スイッチ$S_1$のみを閉じたときの電流$I$とスイッチ$S_2$のみを閉じたときの電流$I$は、ともに5[A]であった。また、スイッチ$S_1$と$S_2$の両方を閉じたときの電流$I$は、3[A]であった。抵抗$R$及びコンデンサ$C$のリアクタンス$X_C$の値の組合せとして、正しいものを下の番号から選べ。ただし、電源電圧$E$は240[V]とする。

並列共振回路
$R$$X_C$
140[$\Omega$] 15[$\Omega$]
2 40[$\Omega$] 30[$\Omega$]
3 40[$\Omega$] 60[$\Omega$]
4 80[$\Omega$] 30[$\Omega$]
5 80[$\Omega$] 60[$\Omega$]

解答 5

共振回路

電子回路で使われる共振回路の基本は、LC共振回路です。多数の周波数の中から、希望する周波数を取り出す場合に共振回路が使われます。共振回路の共振の良さを表すのに、$Q$(Quality factor)を使います。$Q$は尖鋭度といいます。共振時に、コイル$L$のリアクタンス$\omega L$とコンデンサ$C$のリアクタンス$1/\omega C$は等しくなります。
$\omega L = \frac{1}{\omega C} より f = \frac{1}{2\pi\sqrt{L C}}$

尖鋭度$Q$は、直列と並列の場合で式が違って、以下のようになります。

【直列共振回路】
$Q = \left|\frac{V_L}{V}\right| または Q = \left|\frac{V_C}{V}\right|$

【並列共振回路】
$Q = \left|\frac{I_L}{I}\right| または Q = \left|\frac{I_C}{I}\right|$

直列共振回路と並列共振回路の$Q$の値は逆数になります。

並列共振回路

並列共振回路時、コイル$L$とコンデンサ$C$の部分の回路のインピーダンスは、無限大になっています。したがって、回路全体の流れる電流$I$は、抵抗分のみに流れます。(ちなみに、直列共振回路時は、コイル$L$とコンデンサ$C$の部分の回路のインピーダンスは、0になりますので、回路全体のインピーダンスは抵抗分のみとなります。)

$S_1$のみと$S_2$のみを閉じたとき、$L$と$C$に流れる電流$I_L$と$I_C$が等しいので、$L$と$C$のリアクタンス$X_L$と$X_C$は等しい。したがって、$S_1$、$S_2$ともに閉じたときは並列共振状態であって、そのとき、$L$と$C$に流れる電流$I_L$と$I_C$が逆位相で打ち消し合い、電流$I$は$R$に流れる電流$I_R$に等しい。したがって、$R$は次のようになる。

$$R = \frac{E}{I_R} = \frac{240}{3} = 80[\Omega]$$

$I_R$と$I_L$の和と$I_R$と$I_C$の和がともに5[A]であるから、以下のように$I_L$と$I_C$はともに4[A]となる。

$$5 = \sqrt{I_L^2 + 3^2} = \sqrt{I_C^2 + 3^2}より$$

$$I_L = I_C = 4[A]$$

したがって、$X_L$と$X_C$は、次のようになる。

$$X_L = X_C = \frac{240}{4} = 60[\Omega]$$

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